ゴルフの練習後、腕が痛い…なんて悩んでいませんか?「練習のしすぎかな?」と思いつつも、スイングのたびにズキッと痛むと、ゴルフを楽しむどころじゃなくなってしまいますよね。
結論から言うと、そのゴルフ練習で腕が痛い原因の多くは、間違ったゴルフスイングフォームによる腕痛にあります。ただし、単なるゴルフ練習しすぎによる筋肉痛との違いを見極める必要があり、放置すると悪化する可能性もあるため注意が必要です。
この記事では、ゴルフで左腕が痛い原因から、右腕や前腕の痛み、さらには上腕二頭筋や上腕三頭筋の痛みに至るまで、部位ごとの症状と原因を詳しく解説します。
さらに、ゴルフ肘の痛みの治し方や肩の痛みの改善策、痛みを再発させないための腕の筋肉の鍛え方、そして見落としがちなゴルフのフィニッシュ姿勢が与える負担まで、具体的なゴルフで腕が痛い時の対処法を分かりやすくお伝えしますね!
- 腕が痛くなるスイングの具体的な特徴
- 腕の痛みが出る部位ごとの原因と症状の違い
- 今日からすぐに実践できる具体的な対処法とストレッチ
- 痛みを再発させないための効果的な筋肉の鍛え方

いやー、分かります!僕も昔は練習場で何百球も打っては腕を痛める、なんてことを繰り返していました。「情熱は誰にも負けないのに、なんで痛くなるんだ!」って(笑)
この記事では、そんなあなたの情熱が空回りしないように、痛みの原因を根本から理解して、楽しくゴルフを続けられるための知識と具体的な対処法を、僕の経験も交えながら全力でサポートします!一緒に痛みとおさらばしましょう!
ゴルフ練習で腕が痛い主な原因と症状


ゴルファーのスポーツ障害、最も多いのは腰、次に肘
日本臨床スポーツ医学会の学術誌に掲載された調査によると、ゴルフによるスポーツ障害で最も発生頻度が高い部位は「腰部(37.6%)」であり、次いで「肘(25.8%)」、「肩(11.5%)」、「手・手関節(10.8%)」と報告されています。
この記事で扱う腕の痛み、特に「ゴルフ肘」は、腰痛に次いで多くのゴルファーが経験する代表的な症状であることがわかります。
ゴルフ練習しすぎと筋肉痛の違い
ゴルフの練習後に腕が痛むと、「これはただの筋肉痛?それともケガのサイン?」と不安になりますよね。この二つを見分けることは、今後のゴルフライフにとって非常に重要です。この症状の違いを理解しないまま放置すると、痛みをかばうスイングが癖になったり、慢性的な障害につながったりする可能性もあります。
まず、健全な筋肉痛、専門的には「遅発性筋肉痛」と呼ばれるものは、普段使わない筋肉を動かした後に起こる筋肉線維の微細な損傷と、その修復過程で起こる炎症反応が原因です。
正しいスイング、つまり下半身と体幹を主導としたボディターンができていれば、主にお尻(臀筋群)や太ももの裏側(ハムストリングス)、脇腹(腹斜筋)といった大きな筋肉に心地よい疲労感として現れます。
痛みは練習後数時間から翌日にかけてピークを迎え、適切な休養を取れば2〜3日もすれば自然と和らいでいくのが特徴です。これは筋肉がより強く生まれ変わっている証拠なので、むしろ「正しく体を使えたな」という自信にしてください。
一方で、注意が必要な痛み(ケガのサイン)は、関節や腱、靭帯といった組織からの危険信号です。特定の部位、特に肘の内側・外側や手首、肩などに「ズキッ」「ピリッ」といったシャープで刺すような痛みが走るケースがこれにあたります。
この痛みはスイング中や特定の動作(例えば、トップ・オブ・スイングやインパクトの瞬間)をした時に毎回のように現れ、安静にしていても鈍い痛みが残ることがあります。
これは練習しすぎによるオーバーユースや、不適切なフォームが特定の部位に許容量を超える負担をかけ続けている可能性が高いです。
これを放置すると、ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)やテニス肘(上腕骨外側上顆炎)、腱鞘炎、肩のインピンジメント症候群といった、治療に時間のかかる慢性的な症状に繋がる恐れがあります。
【要チェック】筋肉痛とケガの痛みの見分け方
項目 | 健全な筋肉痛 | ケガのサイン(障害) |
---|---|---|
痛みの質 | 全体的に重だるい、鈍い痛み | 特定の箇所がズキズキ、チクチクする鋭い痛み |
痛む場所 | 体幹、お尻、太ももなど大きな筋肉 | 肘、手首、肩など関節周辺 |
発生タイミング | 練習の数時間後~翌日 | 練習中から発生し、練習後に悪化する |
持続期間 | 2~3日で自然に軽快する | 3日以上続く、もしくは悪化する |
その他 | 筋肉が張る感じ | 腫れ、熱感、関節が動かしにくい、しびれを伴うことがある |
もし、あなたの痛みが右側の「ケガのサイン」に多く当てはまる場合は、自己判断で練習を続けず、一度整形外科などの専門医に相談することが必要です。
自分の体の声に丁寧に耳を傾け、練習量と体のケアのバランスを賢く取ることが、生涯にわたってゴルフを楽しむための最も大切な秘訣です。
ゴルフスイングフォームによる腕痛


ゴルフ練習で腕が痛くなる最大の原因、それは結論として、やはりスイングフォームにあります。特に、ゴルフの教科書が口を酸っぱくして注意を促す、いわゆる「手打ち」になっていると、腕への負担が極端に大きくなってしまいます。
本来、ゴルフスイングは地面反力を使い、下半身で生まれたエネルギーを体幹の捻転によって増幅させ、そのパワーを腕、そしてクラブヘッドへと効率よく伝達させる「運動連鎖」です。
しかし、多くのゴルファーが「もっと遠くへ!」と願うあまり、この連鎖の最終出口である腕の力に頼ってしまいます。その結果、全身で分散すべき衝撃や負荷を、腕という細いパーツだけで受け止めることになり、痛みが発生するのです。具体的には、以下のようなフォームが腕痛を引き起こす代表例です。
腕だけでクラブを振り上げる(オーバースイング)
体を十分に捻転させずに腕の力だけでクラブを高く、遠くへ上げようとすると、肩や肘の関節に大きな負担がかかります。
特に右肘が必要以上に曲がり、左手首が甲側に折れる(クロス)ようなトップになると、クラブの重さを支えるために筋肉が過剰に緊張します。
この状態ではトップの位置が不安定になり、切り返しで力んでしまう原因にもなります。以前、レッスンに来たAさんは、ドライバーの飛距離を伸ばそうと必死に腕を上げていましたが、肩の痛みに悩んでいました。
私が「Aさん、一旦クラブを置いて、胸を真後ろに向けることだけ意識して回ってみましょう」とアドバイスし、ボディターンの感覚を掴んでもらったところ、力みが抜けてスイングアークが自然と大きくなりました。
結果、肩の痛みは消え、平均飛距離は190ヤードから215ヤードへと逆に伸びたのです。彼は「腕の力じゃなかったんですね…」と目からウロコが落ちていました。
上半身から切り返す(アウトサイドイン軌道)
ダウンスイングの始動が、地面を踏み込む下半身ではなく、焦ってボールを打ちにいく腕や肩から始まると、クラブが外側から下りてくる「アウトサイドイン軌道」になりがちです。
これは、クラブヘッドがボールに対して鋭角に入りすぎるため、インパクトの衝撃が非常に大きくなります。その衝撃の逃げ場がなくなり、腕、特に肘の外側(テニス肘)や内側(ゴルフ肘)で直接受け止めることになり、痛みの直接的な原因となります。
インパクトで力む(当てにいくスイング)
ボールに力を伝えようと、インパクトの瞬間にグリップを「ギュッ!」と強く握り込んだり、腕を目標方向に無理に押し込もうとしたりする動きも非常に危険です。
「カキーン!」という快音を求めるあまり、力任せになる気持ちは痛いほどわかりますが、それは逆効果。クラブヘッドの自然な加速(リリース)を妨げるブレーキとなり、しなるはずのシャフトの性能を殺してしまいます。
さらに、その急ブレーキによって発生した衝撃エネルギーが手首や前腕に集中し、痛みを引き起こすのです。
理想のスイングは、腕の力を限りなくゼロに近づけ、体の回転(ボディターン)でクラブを振ることです。腕はあくまで体とクラブを繋ぐ「しなやかなムチ」や「ロープ」のような役割だと考えてみてください。
下半身と体幹という強力な「エンジン」が回転すれば、腕とクラブは自然と振られ、遠心力で勝手に加速していく。この「クラブに仕事をさせる」感覚を掴むことが、腕の痛みをなくし、飛距離を伸ばすための最大の鍵です。
もしあなたの腕に痛みがあるなら、スマートフォンでご自身のスイング動画を後方と正面から撮ってみることを強くおすすめします。客観的に見ることで、「こんなに腕で振ってたのか!」という意外な癖がきっと見つかりますよ。
ゴルフで左腕が痛い原因は何か
右打ちのゴルファーにとって、左腕はスイングの半径を決め、クラブを正しいプレーンに導く「リード役」です。そのため、左腕に痛みが出るとスイングの根幹が揺らぎ、ゴルフにならなくなってしまいます。左腕が痛くなる主な原因は、「テニス肘(上腕骨外側上顆炎)」の可能性が非常に高いと考えられます。
「ゴルフなのにテニス肘?」と不思議に思うかもしれませんが、これはテニスのバックハンドストロークで手首を返す(伸展させる)動作で肘の外側に負担がかかるため、そう呼ばれているだけです。
ゴルフでは、インパクトの衝撃や、フォロースルーで左肘が抜けずに引けてしまう(チキンウィング)動作が主な原因となります。
具体的には、ダウンスイングで体の回転が止まり、腕だけでクラブを振り抜こうとすると、インパクトでフェースを無理やり返そうとする動きが強くなります。
この手首を返す(回外・伸展)動きを繰り返すことで、手首を伸ばすための筋肉(短橈側手根伸筋など)が付着している肘の外側の骨の出っ張り(外側上顆)に、牽引ストレスがかかり続け、微細な断裂や炎症が起きてしまうのです。
こんな動作に要注意!
- 左脇が甘い: バックスイングやフォロースルーで左脇が大きく開いてしまうと、腕と体の一体感がなくなり、腕の力に頼らざるを得なくなります。
- チキンウィング: インパクト後、左肘が曲がって後方に引けてしまう動きです。これは体が回転していない証拠で、クラブを無理やり腕で引っ張るため、肘に大きな負担がかかります。
- ボールを拾い打ちしようとする: ボールをすくい上げようとして、インパクトで左手首を甲側に折るような動き(フリップ)をすると、手首と肘の両方にストレスがかかります。
症状のセルフチェックポイント
以下の動作で肘の外側に痛みが出るか確認してみましょう。
- 椅子に座り、腕を机の上に置く
- 手のひらを下にした状態で、手首を上に反らせる
- 反対の手で、反らせた手首を上から押さえる
- その抵抗に逆らって、さらに手首を上に持ち上げようとした時に痛みが出れば、テニス肘の可能性が高いです。これを「トムセンテスト」と言います。
これらの症状に心当たりがあれば、テニス肘の可能性を疑ってみてください。特に、左腕主導のスイングを意識しすぎるあまり、体幹の回転を使わずに腕だけでクラブを引っ張っている方に多く見られます。
左腕はあくまでスイングアークのガイド役であり、クラブを力で引っ張りすぎるのは禁物です。体の回転と腕の振りを同調させることが、左腕の負担を減らす最大の鍵となります。
ゴルフにおける右腕や前腕の痛み


利き腕である右腕に痛みが出る場合、その多くは「ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)」が原因と考えられます。これはその名の通り、ゴルファーに非常に多い症状で、肘の内側に痛みが発生します。
右腕はパワーを生み出す役割を担うため、無意識に力が入りやすく、負担がかかりやすいのです。
ゴルフ肘は、主にダウンスイングからインパクトにかけて、右腕でボールを強く叩きにいこうとする動きや、ボールの手前の地面を叩いてしまう「ダフリ」の衝撃が繰り返されることで発症します。
手首を手のひら側に曲げる(掌屈)筋肉や、指を強く握り込む筋肉は、その多くが肘の内側にある骨の出っ張り(内側上顆)に付着しています。
インパクトで力んだり、硬い地面やマットをダフったりすると、この筋肉の付着部に急激で強い牽引力や衝撃が加わり、炎症や微細な損傷を引き起こしてしまうのです。
特に初心者に多い原因と心理
ゴルフを始めたばかりの方は、ボールをうまく捉え、遠くへ飛ばしたいという気持ちから、どうしても利き腕である右手に力が入りがちです。
「いやー、実は僕も昔は同じ悩みで、右手でボールをひっぱたいてはOBを連発していました(笑)」なんて生徒さんには話しますが、これは誰もが通る道かもしれません。
この「右手で仕事をしすぎる」状態が、右肘への直接的な負担となり、痛みの原因となります。また、アイアンでボールを上から打ち込む「ダウンブロー」を正しく理解せず、単に地面にクラブを強く打ち付けてしまうことも少なくありません。
ダフリが肘に与える衝撃
練習場の硬いマットの上でダフった場合、クラブヘッドのスピードは急激にゼロになります。しかし、腕や体は前に進もうとし続けるため、そのエネルギーの逃げ場がなくなり、衝撃波のように手首や肘の関節に伝わります。これを繰り返すことは、小さなハンマーで肘を叩き続けているようなものだと考えてください。
症状のセルフチェックポイント
- 肘の内側の骨が出っ張っているあたりを押すと、響くような痛み(圧痛)がある
- 重いカバンを持ったり、ドアノブを回したりすると肘の内側から前腕にかけて痛みが走る
- ゴルフのインパクトの瞬間に、痛みで力が抜けるような感覚や、しびれを感じることがある
右腕や前腕の痛みは、「もっと飛ばしたい」という熱意が空回りして、力んでしまっているサインかもしれません。右手はクラブを支え、タメを維持し、インパクトで加速させる重要な役割がありますが、スイングの主役はあくまで体の回転です。
右肘を軽く曲げたまま、体の近く(右ポケットの前あたり)を通すようにスイングすることを意識すると、腕の通り道ができ、力みなくクラブを振り抜けるようになり、負担を劇的に軽減できますよ。



ここまで痛みの原因について見てきましたが、「あ、これ自分のことだ…」と思い当たる節があったかもしれませんね。
でも、大丈夫!原因が分かれば対策は立てられます。記事の後半では、これらの痛みをどうやって改善していくか、具体的なストレッチや練習ドリルをたっぷり紹介します。
多くの生徒さんが「意識を変えただけで、こんなに楽に振れるなんて!」と驚いた方法です。あなたのゴルフも、ここから変わりますよ!
ゴルフによる上腕二頭筋の痛み
いわゆる「力こぶ」の部分である上腕二頭筋が痛くなる場合、これは典型的な「力みすぎ」のサインであり、スイング効率が低下している証拠です。ゴルフスイングにおいて、上腕二頭筋が主役になる場面は本来ほとんどありません。
この筋肉は肘を曲げたり、前腕を回外(手のひらを上に向ける動き)させたりする際に使われますが、スイング中にこれらの動きを意識的に強く行うことは、むしろスムーズなクラブの動きを著しく妨げる原因になります。
上腕二頭筋に痛みが出る最大の原因は、グリップを強く握りすぎていること(過剰なグリッププレッシャー)です。
ボールを強く、遠くへ飛ばそうとして無意識にクラブをガチガチに握りしめてしまうと、その力みが手首、前腕、そして上腕へと伝わり、腕全体が一本の硬い棒のようになってしまいます。
この状態で繰り返しスイングを行うことで、上腕二頭筋が常に緊張を強いられ、筋肉が過労状態に陥り、痛みを発症するのです。
また、上腕二頭筋の痛みは、他のスイングエラーとも密接に関連しています。例えば、バックスイングで左肘が大きく曲がってしまったり、フォロースルーで右肘が引けてしまったりする「チキンウィング」の動きも、上腕二頭筋に大きな負担をかける原因の一つです。
これらは、体幹の回転が不足しているのを腕の力で補おうとする代償動作であり、クラブを無理やりコントロールしようとする結果、このような不自然な動きが生まれ、筋肉に多大なストレスがかかります。
グリッププレッシャーのセルフチェック
アドレスした時に、自分の前腕や上腕二頭筋を触ってみてください。もしカチカチに硬くなっていたら、それは力みすぎのサインです。
グリップを握る強さは、「握ったチューブから歯磨き粉が出ない程度」や「小鳥を優しく手のひらで包むような感覚」とよく言われます。10段階で表現するなら「3〜4」程度の力加減が理想です。実際にレッスンで生徒さんに力みを抜いてもらうと、「クラブヘッドがどこにあるかよく分かる!」「クラブってこんなに重かったんですね!」と驚かれます。
力みを取るだけで、手首が柔らかく使えるようになり、ヘッドがムチのようにしなって走るため、ボールが空に吸い込まれていくような感覚でヘッドスピードが上がり、飛距離が伸びることも少なくありませんよ。
もし上腕二頭筋に痛みを感じるなら、スイングの根本的な問題を見直すチャンスです。まずはグリップの力加減からチェックし、腕の力を抜いてクラブの重みを感じながら振る練習から始めてみてください。
リラックスして振ることが、痛み改善とナイスショットへの一番の近道です。
ゴルフでの上腕三頭筋の痛み


二の腕の裏側にあたる上腕三頭筋は、肘を伸ばす(伸展させる)際に使われる筋肉です。ゴルフスイングでは、ダウンスイングでタメを解放し、インパクト、そしてフォロースルーにかけて腕が目標方向に伸びていく動きがあるため、この筋肉が活動します。
実は、上腕三頭筋の痛みは、これまで解説してきた他の部位の痛みとは少し性質が異なります。ある程度正しいスイングができていて、体の回転によって生まれた遠心力を使い、腕がムチのようにしなって伸びている場合でも、その強い伸張と収縮によって筋肉痛として痛みが出ることがあるのです。
特に、普段あまり運動をしていない方が急に練習量を増やしたり、飛距離アップを目指してヘッドスピードを上げるトレーニングをしたりした場合などは、健全な筋肉痛である可能性も考えられます。
ただし、スイングエラーによるケガのサインとして痛みが出ているケースも多いため、注意が必要です。それは、インパクトで腕を能動的に「押し込む」ように使っている場合です。
ボールを目標方向に無理やり押し出そうとする意識が強すぎると、上腕三頭筋に過剰な負荷がかかり、急激な収縮によって肉離れのような鋭い痛みを引き起こすことがあります。
これは、クラブヘッドの自然な走行を腕の力で邪魔している状態であり、エネルギー効率も非常に悪い動きです。
また、右打ちの場合、フォロースルーで左腕が伸びきる際に、関節の可動域を超えて過度に伸展(ハイパーエクステンション)してしまうと、上腕三頭筋の腱が付着している肘の先端部分(肘頭)にストレスがかかり、痛みの原因になることもあります。
これは、体が開いてしまい、腕の力だけでフィニッシュまで持っていこうとした結果起こりやすい症状です。
「伸ばす」と「押し込む」の決定的な違い
感覚的な話になりますが、良いスイングでの「腕が伸びる」は、体の回転によってクラブが外に放り出され、その遠心力によって腕が「自然と伸ばされる」状態です。
一方、悪いスイングでの「腕を押し込む」は、腕の筋肉の力で能動的に「目標に突っ張る」動きです。この違いを理解することが、上腕三頭筋の痛みを予防する上で非常に重要になります。
上腕三頭筋の痛みを感じた場合は、それが筋肉全体の張りや疲労感のような「筋肉痛」なのか、それとも動作のたびに特定の箇所が鋭く痛む「ケガの痛み」なのかを慎重に見極めることが大切です。
もし後者であれば、腕の力に頼りすぎている可能性があります。スイング全体のリズムを意識し、腕が自然に振られていく感覚を養う練習が必要です。
ゴルフ練習で腕が痛い時の改善策と対処法


ゴルフによる肩の痛みを改善する方法
ゴルフスイングは肩関節を大きく、かつ高速で回旋させるため、肩に痛みが出ることも少なくありません。
特に、肩甲骨周りの筋肉の柔軟性が低い、いわゆる「肩が凝り固まっている」状態だと、腕の力だけでクラブを上げてしまう「手上げ」のスイングになりやすく、肩関節への負担が著しく増大します。
肩の痛みを改善するためには、スイングの修正と並行して、まず肩甲骨の可動域を広げるコンディショニングが非常に効果的です。
肩甲骨が背骨から離れたり(外転)、寄ったり(内転)、上がったり(挙上)、下がったり(下制)と、自由に動くようになると、腕と上半身がスムーズに連動し、無理なく深いトップ・オブ・スイングを作ることが可能になります。
肩甲骨はがしストレッチ(キャット&カウ応用編)
- 四つん這いになり、手は肩の真下、膝は股関節の真下に置きます。
- 息を吐きながら、背中を丸め、左右の肩甲骨を天井方向に引き離すように意識します(キャット)。
- 次に息を吸いながら、胸を張り、左右の肩甲骨を背骨に引き寄せるように意識します(カウ)。
- この動きを10回ほどゆっくり繰り返します。
壁を使った肩回りのストレッチ
- 壁の横に立ち、壁側の腕を肩の高さで真横に伸ばし、手のひらを壁につけます。
- 体をゆっくりと壁から離れる方向に捻っていきます。胸や肩の前側が気持ちよく伸びるのを感じるところで20〜30秒キープします。
- 反対側も同様に行います。
また、スイングの改善も不可欠です。バックスイングでは、腕でクラブをひょいと持ち上げるのではなく、おへそや胸のマークをターゲットの反対方向に向ける意識を持つことが大切です。
体幹の捻転を使うことで、腕は自然と正しい位置に上がり、肩関節への負担を減らしながら、パワフルな捻転差を生み出すことができます。
この動きを「ボディターン」と言います。腕は体の回転についてくるだけ、という受動的な感覚をぜひ養ってくださいね。痛みが続く場合は、肩関節周囲炎(四十肩・五十肩)や腱板損傷の可能性も考えられるため、スポーツ整形外科の受診をお勧めします。
スポーツ庁のウェブサイトでも、安全なスポーツ活動のための情報が提供されていますので、参考にすると良いでしょう。(参照:スポーツを実施する者の安全・安心の確保(第3期スポーツ基本計画))
ゴルフ肘の痛みの治し方とは


ゴルフによる腕の痛みの代表格であり、多くのゴルファーを悩ませる「ゴルフ肘」一度発症すると治りにくく、再発しやすいのが特徴です。
この厄介な痛みをしっかりと治すためには、「①急性期の処置」「②回復期のリハビリ(ストレッチ)」「③根本原因の除去(スイング修正)」という段階的なアプローチが必要です。
①急性期の処置:とにかく安静と冷却
まず最も重要なのが安静です。痛みは体からの「炎症が起きてるから、もうやめて!」という悲鳴です。このサインを無視して練習を続けると、症状が悪化し、治癒が長引くだけでなく、慢性化してしまう可能性があります。
痛みが強い急性期(練習直後やズキズキ痛む時期)は、思い切って2〜3週間クラブを握らない勇気も必要です。そして、練習後や痛む時には、患部を15分程度アイシング(氷嚢などで冷却)して、炎症を抑えることが重要です。
②回復期のリハビリ:優しいストレッチから
急性期の強い痛みが少し落ち着いてきたら、次にストレッチを取り入れて、硬くなった前腕の筋肉をゆっくりと伸ばし、血行を促進しましょう。ただし、痛みを感じるほど強く行うのは逆効果です。「イタ気持ちいい」くらいの範囲で、無理なく行うことが鉄則です。
前腕(屈筋群)のストレッチ
- 痛む方の腕をまっすぐ前に伸ばし、手のひらを上に向けます。
- 反対の手で、指先を掴んでゆっくりと手前に引き、手首を反らせます。
- 前腕の内側(ゴルフ肘の痛む側)が心地よく伸びるのを感じながら20〜30秒キープします。これを2〜3セット行います。
③根本原因の除去:スイングの大改造
これらのセルフケアと並行して、最も重要な根本原因であるスイングの修正に取り組みましょう。前述の通り、右手で叩きにいく動きや、ダフリが大きな原因です。体の回転で打つ感覚を身につけることが、再発を防ぐ唯一にして最大の薬になります。具体的には、以下のようなドリルが有効です。
- スプリットハンドドリル: グリップを左右10cmほど離して握り、スイングします。これにより、腕の力だけではうまく振れず、自然と体の回転を使わざるを得なくなります。
- 右手一本でのアプローチ練習: 右手だけでウェッジを持ち、腰から腰までの振り幅でボールを打ちます。これにより、右手の正しい使い方(ボールを押すのではなく、運ぶ感覚)を養うことができます。
痛みが長引く場合や、日常生活に支障が出るほどの強い痛みの場合は、自己判断せずに必ず整形外科などの専門医に相談しましょう。専門医による診断のもと、物理療法や適切な治療を受けることが、早期回復への近道です。(参照:日本整形外科学会「肘関節の症状一覧」)
ゴルフのフィニッシュ姿勢による負担
意外と見落とされがちですが、スイングの終着点であるフィニッシュの姿勢も、腕への負担に大きく関係しています。プロゴルファーのフィニッシュが例外なくピタッと決まって美しいのは、見た目のためだけではありません。
それは、スイングの一連の流れがスムーズで、エネルギーが効率よくボールに伝達され、どこにも無理な力がかかっていないことの証明なのです。
逆に、バランスの悪いフィニッシュは、スイングプロセスにおける何らかのエラーの結果であり、どこかの部位に過剰な負担がかかっているサインです。特に、以下のようなフィニッシュは腕への負担を増大させる典型例です。
【危険信号】腕に負担をかけるNGフィニッシュ
- 体が目標方向に突っ込み、左足一本で立てない:下半身が止まり、体重移動がうまくいかないまま腕の力で無理やりクラブを振っている可能性があります。これを「スウェー」と言い、腰だけでなく腕にも大きな負担がかかります。
- 背中が大きく反ってしまう(リバースC):インパクトで体が起き上がり、背中が逆C字型に反り返るフィニッシュです。これは腰への負担が非常に大きいだけでなく、フォロースルーで腕が詰まり、肩や肘にも余計な緊張が残り、痛みの原因となります。
- クラブを途中で止めてしまう・振り切れない:クラブの遠心力に負けて振り切れない、あるいは腕の力で無理にスイングを抑え込もうとすると、その慣性エネルギーをすべて腕の筋肉や関節で吸収することになり、肘や手首に急激な負担がかかります。
理想的なフィニッシュは、左足の股関節の上に頭から足までが一本の軸として乗り、体重のほとんど(9割以上)が左足に乗っていて、おへそが完全に目標方向を向き、クラブが自然な勢いで首に巻き付くように収まっている状態です。
この「型」を意識するだけでも、そこに至るまでのスイング軌道が安定し、腕の力みが自然と抜けてきます。「スイングの終わり方」を意識することが、結果的に「腕が痛くならないスイングの始まり」に繋がるのです。
ぜひ、練習の最後に、打球の行方を見届けながら毎回ピタッと3秒間静止できるフィニッシュを目指してみてください。この意識が、あなたのゴルフを根本から変えるきっかけになるかもしれません。
ゴルフのための腕の筋肉の鍛え方
腕の痛みを予防し、再発を防ぐためには、スイング改善とコンディショニングに加えて、ゴルフスイングに関連する筋肉を適切に鍛えることも重要です。
ただし、ここで大きな誤解をしてはいけません。目的は、ボディビルダーのように筋肉を大きくすること(筋肥大)ではありません。
あくまでケガを予防し、高速な回旋運動に耐えうる安定性と、しなやかな連動性を高めるための補強(ファンクショナルトレーニング)と捉えてください。
特に重点的に鍛えたいのは、腕そのものよりも、むしろスイングの土台となる以下の3つの部位です。
1. 前腕筋群(握力と手首の安定性)
グリップを安定させ、インパクトの衝撃から繊細な手首や肘の関節を守る重要な筋肉です。強すぎる握力は不要ですが、クラブを支える最低限の力と、衝撃に負けない強さは必要です。
トレーニング例: 軽いダンベル(1~2kg)や水を入れたペットボトルを使ったリストカール(手首を曲げる運動)やリバースリストカール(手首を反らせる運動)を各15回×2セット。
2. 体幹(腹筋・背筋・腹斜筋)
スイングのブレない軸を作り出す、まさに「体のエンジン」です。強固で安定した体幹があれば、腕の余計な力みがなくなり、下半身から生み出したパワーをロスなく上半身に伝える、スムーズなボディターンが可能になります。
トレーニング例: プランク(体幹を一直線に保つ)を30秒~1分キープ。バードドッグ(四つん這いで対角の手足を伸ばす)を左右10回ずつ。
3. 肩甲骨周りの筋肉(僧帽筋・菱形筋・前鋸筋)
肩甲骨の動きをスムーズにし、腕と体幹を繋ぐ重要な役割を果たします。この部分がしっかり機能すると、腕が体から離れずに振れるようになり、安定したトップ・オブ・スイングと再現性の高いスイングプレーンを作ることができます。
トレーニング例: ゴムチューブを使ったシーテッドローイング(ボートを漕ぐようにチューブを引く)や、腕立て伏せの姿勢で肩甲骨だけを寄せたり離したりする「スキャプラプッシュアップ」を15回×2セット。
これらのトレーニングは、練習後やお風呂上がりなど、体が温まっている時に行うのがおすすめです。重い負荷で回数をこなすよりも、軽い負荷で正しいフォームを意識しながら、ゆっくりと筋肉の動きを感じながら行う方が、ゴルフのパフォーマンス向上にははるかに効果的です。
痛みがある時は無理に行わず、専門家の指導のもとで行うようにしてくださいね。
ゴルフ練習で腕が痛いについてよくあるご質問FAQ
カーボンシャフトは衝撃を約30%軽減する
大手メーカーのダンロップ(住友ゴム工業)によると、ゴルフクラブのシャフト素材である「カーボン」は、一般的な「スチール」と比較して振動減衰性能が高いことが特徴です。
同社の検証では、インパクト時の衝撃(振動)をスチールシャフトに比べて約30%低減できるとされています。この衝撃吸収性能の高さが、ダフリなどのミスヒット時に手首や肘にかかる負担を和らげ、ゴルフ肘などの障害リスクを軽減する一因となります。
ゴルフ練習で腕が痛い時の総まとめ対処法


最後に、この記事の要点をまとめます。
- ゴルフ練習で腕が痛い主な原因は間違ったスイングフォーム
- 単なる筋肉痛かケガのサインかを見極めることが重要
- 腕の力に頼る「手打ち」が各部位への負担を増大させる
- 左腕の痛みはテニス肘(外側上顆炎)の可能性がある
- 右腕の痛みはゴルフ肘(内側上顆炎)の可能性が高い
- 上腕二頭筋の痛みはグリップの握りすぎが主な原因
- 上腕三頭筋の痛みは健全な筋肉痛の場合もあるが注意も必要
- 肩の痛みには肩甲骨のストレッチが効果的
- ゴルフ肘の治療には安静・ストレッチ・スイング修正が不可欠
- バランスの取れたフィニッシュは腕への負担を軽減する
- ケガ予防には前腕・体幹・肩甲骨周りの筋トレが有効
- 痛みが強い時は冷やし、慢性的な痛みは温めるのが基本
- サポーターは一時的な対策として有効
- 痛みがある場合は無理せず練習を休む勇気を持つ
- 自分の体力に合ったクラブ選びも負担軽減に繋がる
今日からできるアクションプラン
- グリッププレッシャーチェック:次の練習で、小鳥を握るくらいの優しい力で握ることを意識して20球打ってみる。
- 練習前後のストレッチ習慣:練習前に手首と肩甲骨を5分間、練習後にも同様に5分間ストレッチを必ず行う。
- ボディターンの素振り:クラブを持たずに胸の前で腕を組み、体を左右に90度回す素振りを毎日10回行う。
この小さな一歩が、あなたのゴルフをより楽しく、長く続けられるものに変えてくれます!



最後までお読みいただき、ありがとうございます!腕の痛みの原因から具体的な対策まで、ご理解いただけたでしょうか。
大切なのは、痛みを「もうゴルフができないかも…」という絶望のサインではなく、「もっと上手くなれるチャンス!」と捉えることです。痛みは、あなたのスイングの間違いを教えてくれる最高のコーチなんです。
この記事を参考に、自分の体と向き合い、賢く練習を重ねていけば、痛みなく、もっと遠くへ、もっと真っ直ぐ飛ばせる日が必ず来ます。あなたのゴルフライフが、笑顔で満ち溢れることを心から応援しています!
▼あわせて読みたい関連記事▼
【自宅練習】ゴルフボール不要!「タオル1本」で手打ちを治す驚きの練習法
【スイング革命】「シャドースイング」だけで100が切れた!僕がおすすめする5つのドリル
【クラブ診断室】ゴルフクラブシャフトの選び方|スコアを変える一本を見つける
【レッスン日誌】スコア99を達成した生徒が実践した「3つのメンタル管理術」